これって間違い?「気温のが・・・」ワイン用ブドウ栽培の話19

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 「気温が高いのが問題である」

 成熟期の日較差、最高気温、平均気温に問題があるのは事実ですが、栽培上どうにもならないかと言うとそうでもありません。

土地、天候、クローンを重視すれば栽培は軽視されます。
この三つを言い訳にすれば、栽培について説明する必要もないので
面倒な時や、嫌な奴にはこの手を使います。(冗談です。)

「キュベ・イケガワは、クローンがいいから…。天候に恵まれたから・・・。テロワールの違いだと…。」

「山梨県のカベルネ・ソーヴィニヨンは、クローンがダメ…。気温が高すぎ・・・。土地がダメ…。」

こうした説明で納得してくれる人が多いので助かります。

私が就農した30年ほど前から異常気象と言われていましたし、この10年ほどでは最高気温が高い傾向にあるのも事実でしょう。
では、この期間のブドウは良くなかったと言い切ることができるでしょうか。

ブドウは環境に対する適応力が高いということは、すでに指摘しました。クローン選抜でも対応できなかったとしても品種数が多く100年単位で考えれば、主要品種が他の品種へと切り替えがあるかもしれません。
黒系品種は標高の高いところで栽培をするということも一つの選択でしょう。

また、温暖化に向かう過程でも一時的に平均気温の低下もあるでしょうし、これまでも萌芽期だけを見ても2週間ほどの生育差が見られます。天候は一定ではないという当たり前のことを意識すべきです。

栽培技術の現実的な対応としては、全天候型に対応するバランサー理論(シンク・ソースと生育ステージを関連付ける)を駆使することが必要です。

日較差が小さく、最低気温が高い時などは、ブドウの呼吸や樹体維持のためにエネルギーを消費し結果的に収量過多による着色障害が起り易くなります。こうしたことが予測されるときには、ベレーゾン初期に徹底した収量調節やワインスタイルによっては酸の減少を抑えるために早期収穫をすることも重要です。

生食用品種の巨峰、ピオーネなどの黒系品種では過去に勝沼や牧丘で着色障害が大きな問題になった年でも甲府では大きな問題にならなかったこともあります。甲府は早場地帯で着色しにくいので収量制限をしっかりするからです。

キュヴェ・イケガワのMBAは、甲府盆地の底で地下水位が高くヒートアイランド現象で夜温も高く、必ずしも栽培適地と言えるところではありませんが、そこにしか出せない良さを出していると思います。ここで栽培していることで多くのことを学びましたし、栽培技術で品質を上げることの重要性を痛感しました。

山梨だからできるワイン、山梨でしかできないワインを目指すことが我々の歩む唯一の道なのです。

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MBAの剪定

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ベリ剪定
MBA(マスカッット・ベリーA)の剪定が8日にほぼ終わりました。

雪べり
9日に降った雪で春から冬に戻ったみたいです。 

春先の雪は、ブドウにも農地にとても良く、
キュヴェ・イケガワ10も期待できそうです。

このブドウ園は、みんな美しいと言ってくれます。


いつまでも居たい気持ちになる不思議な魅力があります。

ただ、黙々とブドウと向き合っているだけで清々しい気持ちになります。

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これって間違い?「雨が多いから・・・」ワイン用ブドウ栽培の話18

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 「雨が多いから良いブドウが作れない」

若手の会主催のセミナー(サントリーの村上 安生氏の講義)に出席しその後の反省会でもお話を伺うことができました。山梨大学の佐藤教授と私と村上氏の3人の栽培に関する認識はほぼ共通しています。私の意見と同じ人たちが徐々に繋がってきているようにも感じました。

生育期間中に雨が多いということは、それほど大きな問題ではありません。土壌の構造上の問題を解決し、水はけを良くし病気を防げば良いのです。土壌成分より、保水性、排水性を重視する傾向がありますが、土壌の構造、成分、微生物、肥料濃度と栄養分など全てを考慮せずして土壌の最適化はあり得ません。

栽培の基本的な部分として樹冠管理の指導を主に行っていますが、最も重要なのが土壌管理です。一定の栽培管理の上でより重要度を増すとも言えます。

生命は、非常に複雑な動きをしますので同時並行的に改善しなければ、良い結果を生むことはありません。目的を持って取り組めば、土壌も改善され更には、ワインスタイルに合った栽培を提案することも可能になるでしょう。重要なのは栽培方法も土壌も変えることができるということです。

日照量もほぼ必要十分あるということ、ブドウは光合成の能力が高く曇り日でもある程度活性化しているからです。葉面指数3を維持することの重要性を再確認しました。また、過剰な日照量による光ストレスも考慮すべきです。

日本で栽培する上で雨、光に問題がないとすればどこに問題があるのでしょうか。それは、

「気温の高さに問題がある」ということです。

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剪定講習会

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 山梨県ワイン酒造組合の若手醸造家・農家研究会主催の「甲州種のX字型長梢剪定講習会」があり、私が講師を務めさせていただきました。

剪定講習会
参加者も当初の予定以上、約30名が集まり熱心にメモを取り続け、また、ビデオも2台撮影していたようです。たった一度の講習会で習得できるほど簡単な技術ではありませんが、苗木から5年計画で講習会を続ければ必ず習得できます。

剪定した樹は、かなりの応用問題でしたので、どれだけの人が理解できたか、ちょっと心配です。これほど面白い栽培技術はありませんので、より簡単な2本主枝による剪定方法を提案したいと考えています。

将来、醸造家やワインブドウ栽培家が、一般の農家対象に「剪定講習会」をして技術を継承してくれることを願っています。

本気で甲州種のワインをここで作りたいと思うなら、この剪定技術を是非、習得すべきだと私は思います。

私の剪定技術の基は、甲府市善光寺のブドウ研究家、故橘田清次氏(元マンズワイン、現敷島醸造の橘田尚孝氏の父)です。また、地元里垣地区の諸先輩方のご指導、果樹園芸会、JAや普及センターの講習会を通じて3年間でほぼ習得しました。直接的には、橘田先生直伝の技術で親父が指導をしてくれました。改めて御礼申し上げます。

私が比較的短時間で習得できたのは、麻雀をイメージしていたからです。
配牌を剪定する樹に見立て、よりよい役(樹形)を目指すために牌(枝)を切ってゆく。出来る限り高い手(理想的な樹形)で上がれるようにする。あまり欲張ると振り込む(徒長、花振い、裂果)ことになります。麻雀、ギャンブル好きなら3年間で習得できます。

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これって間違い?続「不定芽は・・・」ワイン用ブドウ栽培の話17

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 続「不定芽は、使わない方が良い。」

質問がありましたので前回の補足説明をします。

自然形とは?整枝剪定の中でカラカサ仕立てに代表される樹型、樹冠を広くとり樹型の自由度が高い。x字型長梢剪定は、自然系長梢剪定に含まれます。
側枝を何年も育てることになるので、不定芽を使うと周辺の側枝との勢力バランスを崩しやすくなるので「不定芽は、使わない方が良い。」ということになります。

特に樹型を重視するx字型長梢剪定では、不定芽を使うと樹形が乱れやすくなります。不定芽という概念が存在するのは、この仕立て方だけなのです。

自然形に対する言葉として、人工系があります。人工系整枝剪定は、しっかりとした樹型、一定の専有面積を持ちます。つまり、棚仕立てでは一文字、H型など短梢剪定で、垣根仕立ての基本的な樹型を有するもの、コルドン、ギヨーなどは人工系整枝剪定に区分されます。樹型を維持するため切り返し剪定をするので不定芽という概念が存在しません。

切り返し剪定とは?側枝の専有面積を一定にする時使う技術です。通常は、先端を伸ばし樹形を拡大するため間引き剪定が主体となります。

x字型長梢剪定が少なくなって、樹型の乱れた自然形長梢剪定がほとんどです。栽培している本人は、x字型長梢剪定だと思い込んでいることが大きな問題です。

参考甲州種の剪定について

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