蝉 1

JUGEMテーマ:日記・一般
ローリー寺西さんがラジオで話していたことですが、
心に強く残っていたのでご紹介します。
 
「幼虫として土の中でじっとしてる時、蝉はよもや自分が空を飛べるようになるとは思ってないんだろうなって。」

アメリカでの研修を終え、帰国してから経営規模を拡大しないと日本の農業は衰退すると確信していました。農業を取り巻く環境は30年前でも厳しく、オレンジ、牛肉の輸入自由化などの外圧と担い手の減少、高齢化問題はそのころから指摘されていました。年金問題と同じで少子高齢化と産業の空洞化はそのころから言われていました。ですから、若き農業青年が将来を真剣に考えれば経営規模の拡大以外に生き残りがないということも明白だったのです。当時も20代前半で就農する人は非常に少なかったし、農業を熱く語る若者として「農家」らしくないとよく言われたものでした。特に帰国後は、性格が変わったかのようにおしゃべりになっていたことも影響しているかもしれません。

将来的には、手間暇かける生食用ブドウ栽培の技術を見直さなければ難しいと考えました。当時はブドウ専業でしたから、安定した収益を上げるためには生食用ブドウの販売期間を長くする事と加工用(ワイン醸造用)の栽培面積をバランスよくしながら、規模拡大するのが良いと考えていました。
そのころ、普通に栽培することは習得していましたが今の技術水準を100%とすると当時の技術レベルは、まだ30%ぐらいだったと思います。それでも、毎日ブドウの事ばかり考えていました。分からない事、知らない事、不思議な事ばかりだったので楽しく学ぶことができましたし、「ブドウって、すげーなあ。」といつも思っていました。その栽培技術レベルに到達するのに、約3年でした。5年生の「ヒロハンブルグ」を親父の許可を得て初めて剪定したことを今でもはっきりと覚えています。

かなりの時間をかけて1本の若い樹を剪定した後で、親父に見てもらいました。
その時、親父は剪定した樹を見て全く修正もせず、ひとつの側枝を指差し、「だいたい良いと思うが、来年どういう風になってゆくかしっかり見ておけ。」と嬉しそうにそして、いつもより穏やかな口調で静かに言いました。その側枝の処理は、一番悩んだ所であり、正解かどうかその時は分かりませんでした。剪定した樹がその後が漠然としか浮かばなかったのです。おそらく、ベストではなくベターな選択だったと思い、もう一度自分で少し修正してみました。

剪定技術を習得するのには、最低3年がかかります。1年目は、剪定した樹形をしっかり覚えるだけで十分です。2年目は、その樹形の変化を見届け、前年の剪定の良し悪しや生育の状況を把握し剪定をします。3年目にその修正をするからです。初めて剪定した時は、胸がドキドキして興奮していましたし、目を閉じれば、その樹形がしっかりと頭に焼きついていました。あれから、30数年も経っていますが、あの時の「ヒロハンブルグ」の樹形は今でも頭の中に残っています。

その年は、結果枝の誘引、萌芽、芽欠き、新梢の誘引、摘房、房作り、摘粒、袋かけ、そして、収穫と一連の作業を一人でやりとげ、樹形の変化を観察していました。朝、仕事に出かけるといつもその樹を観察し一日の仕事が始まりました。まるで、恋人に会いにゆくかのように胸はいつもドキドキしていました。一年後、一回り大きくなった「ヒロハンブルグ」に本当の意味で再会した時が、剪定の季節でした。あの側枝の部分が、予想より太くなっていたことに素直に敗北感を感じました。先端は、負けてはいませんでしたが、第二主枝がやや強めになったいたようにも思いました。親父に剪定する前の樹形を見てもらい、アドバイスを受けた後、また一人で剪定を始めました。親父は「俺が教えなくても、ブドウの樹が教えてくれるよ。」と言ってその場を静かに立ち去りました。

今までブドウの栽培指導をしてきて、感じたことは1年目で一定の技術レベルに達しない人は、ブドウ栽培を諦めた方が良いということです。その適性がないということです。ブドウと関わる姿勢、その人の生き方も影響しますが、一年目にどれだけブドウの事を考える事が出来たかで決まると思います。
その点、甲州市の(株)〇isvinの荻〇っていう人なんか私と出会って1年目で、滅茶苦茶ブドウの事を考えていたと思います。そして、いまでも、私と同じくらい栽培で分からない事が一杯あるはずです。二人とも永遠に「栽培家」と名刺に肩書を入れませんが。

少なくとも栽培経験2年以内に基礎技術の習得つまり、剪定以外の結果枝の誘引、芽欠き、新梢の誘引が完璧にできなければ、将来、「妄想栽培家」にしかなれません。これは、技術レベル10%の所のお話です。中学一年生レベルと言うと中学生に失礼かもしれません。

お前何様のつもりでそんなことを断言するんだと言われるかもしれませんが、真剣にブドウ栽培に34年間取り組んできた経験からの考えです。詳しくは、プロフィールを参照してください。(笑) 2へ続く

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